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時計と共に




 大きな街に
 有名な時計作りのおじいさんがいました。
 
 おじいさんは、おばあさんと
 とても仲良し。何十年も共に暮らして来ました。
 
 『照れるが…おまえが一番大切じゃ…』
 おじいさんは聞こえないように言います。
 
 おじいさんの家の柱には
 大きな時計。
 昼と夜の12時に『ぼ〜ん♪ぼ〜ん♪』
 と時間を知らせてくれます。
 この時計は、二人が結婚した時に
 記念として作り上げたものです。
 
 ある日の夜、
 おじいさんが仕事を
 終え、店を閉めようとすると
 一人の黒い帽子の紳士が現れました。
 
 紳士は言いました。
 「こんばんは、あなたを迎えに来ました。」
 
 おじいさんは意味が分かりません。
 『???どういうことじゃ???』
 
 「申し遅れました…人からは死神と呼ばれる者です。
 あなたの寿命の報告に来ました。」
 
 おじいさんはビックリ。
 『ワシが死ねば、あいつは悲しむ…』
 
 「…。変える事はで来ません…。
 別れは必然なのです…。」
 
 翌朝、穏やかにベットで深く眠るおじいさん。
 
 そして、一人ぼっちのおばあさん。
 時間が止まったように動く気力がありません…。
 あの時計も壊れたらしく動きません…。
 
 数日が経ちました…
 やつれたおばあさん…
 おばあさんの時間は止まったまま…
 
 その時、
 『ぼ〜ん♪ぼ〜ん♪』
 壊れたはずの時計。
 12時を知らせています。
 
 おばあさんは、涙が止まりません。
 「はい、おじいさん。この姿を見て悲しんでいるのね。
 私も元気いっぱい動くわ♪」
 
 『ぼ〜ん♪ぼ〜ん♪』
 返事をしているように時計は再び鳴りました。